
ライブ・ドキュメンタリー<登壇ライブ>
日時:1/25(日)
16:00開場、16:30スタート(~22:00終了予定)
場所:そば処いってつ(北品川1-30-23)
制作者・出演者・観客が、作品の上映後に車座になって観たものについて意見を交換する、“体験ライブ型”のドキュメンタリー上映です。
今年は、東海道品川宿でそば屋を営む「そば処 いってつ」さんが会場です。新しい形のドキュメンタリー上映を体験してください。
タイムテーブル
16:30~17:30 柿沼節也 ✕ Tommaso Barbetta ✕ 出村正幸『The Dolphin Wall』
(オープニング 短編『篠原正勝さんを偲ぶ』)
17:30~18:30 土生田晃『面白くない人』
18:30~19:30 交流タイム(軽食)
19:30~20:30 紅子 ✕ 千絵ノムラ ✕ 田才孝子『紅子さん ---色街写真家として生きる人---』
20:30~21:00 米本直樹『Private Film』
21:00~22:00 交流タイム(軽食)
『The Dolphin Wall』16:30~

あらすじ
珠洲市飯田港にある「さいはてのキャバレー」の壁面に描かれたイルカの壁画は、能登半島地震による津波の直撃を受けながらも、奇跡的に大きな損傷を免れた。
しかし、港の復旧工事に伴い、建物の所有者である珠洲市は解体を決定する。
主人公の出村さんはこの壁画を「奇跡のイルカ」と呼び、その保存を訴え、たった一人で活動を続けている。だが周囲の賛同はなかなか得られず、行政の対応も冷たい。
解体着工まで残り三日。追い詰められた彼は、最終手段として珠洲市長への直談判を試みる。
その日、飯田町では震災後初めてとなる祭りが開かれていた。

本作は、風変わりな主人公の活動を追ったロードムービーであると同時に、「震災」が人々にどのような影響を与えたのか、そして本当の「復興」とは何かを、多面的に捉え直そうとする試みでもある。

Barbetta Tommaso(バルベッタ・トマゾ)/監督
北イタリア出身。中流階級の家庭に育つ。
2012年、留学のため来日。大学の映画サークルでプロデューサーの柿沼と出会い、以降、共にさまざまな映像事業に携わる。
2024年には、能登半島地震の被災地をボランティアの視点から描いたドキュメンタリー『能登の花』を監督・制作。
最近、よく夢を見る。
柿沼 節也 (かきぬま せつや)/クリエイティブプロデューサー
1993年生まれ。大学卒業後、ドキュメンタリー映画を極めるため、TSUTAYAの深夜アルバイトをしながら、山形国際ドキュメンタリー映画祭のフィルムアーカイブに通い詰める生活を約1年間続ける。
2020年に株式会社映全社を設立。ドライブインシアター、スパイスカレー、映像制作などの事業を自ら手がけながら、ドキュメンタリー映画の制作を続けている。

『面白くない人』17:30~

芸歴30年以上の芸人・へヴリスギョン岩月(55)は、「テレビに出たい」と語る。差別的で不謹慎、ときには下品で陳腐なその芸風は、どこに面白さを見出せばいいか分かりにくい。今では自身でも「面白くない」と自称し、それでも、アルバイトをしながらネタを披露し続けている。本作は、そんな岩月の姿を追うと同時に、“ドキュメンタリーで求められる被写体とは?”という問いについても掘り下げていく。

昨今、ネットやSNSには“面白い人”が溢れている。そんな世の中だからこそ、”面白くないとされる人”に焦点を当てることで、見えてくる普遍性がある。そう思い、ディレクターの土生田は、ある民放局のドキュメンタリー枠に岩月の企画を持って行った。しかしプロデューサーからは、「面白くない人を世間は求めていない」「好き勝手に生きる中年男性を誰も見たくない」と言われ、“求められる被写体”という考え方に疑問を持つこととなった。

社会的に取り上げるべき人やテーマが優先されることは十分承知の上で、それでも、取り上げるべきとは到底思えない人から普遍性を見出したく、今も撮り続けている。

土生田 晃(はぶた あきら)
映像ディレクター1984年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後からテレビドキュメンタリーの番組制作に携わり、これまでにNHK「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」、MBS/TBS系「情熱大陸」など制作。性、仮想通貨(暗号資産)、コメディといった、価値観や社会の在り方が揺らぐ題材を取材してきた。拡張家族の社会実験「Cift」への参加なども通して、新たなコミュニティやクリエイティブの可能性を模索中。
『紅子さん ---色街写真家として生きる人---』
19:30~

色街・・・かつて遊郭や赤線などとも呼ばれ、渦巻く人間の性と欲望を受け止めてきた街。
時代の変化によって陰へ陰へと追いやられ、幻のように消えつつある色街の、微かな面影をそっとなぞるように、紅子さんは写真を撮り続ける。

色街写真家・元吉原高級ソープ嬢・シングルマザー。並ぶ肩書きはセンセーショナルだが、実際に出会うと、驚くほど物腰柔らかで暖かいまなざしが印象的な人だ。「誰かに私を受け入れてほしい」その一心で色街に入り、20代のほとんどを色街で生きてきた。その時間を「後悔している」と紅子さんはきっぱりと言う。

そして、こう加える「でも、なかったことにはしたくなかった」。40代後半から写真を学び、その歴史や人々の想いを知り、再び通い始めた色街は、まったく違う景色に見えたという。色街に生きること、身体だけでなく心のある人が生きていることを知っているから、紅子さんの写真には確かにそこにあった「息遣い」を感じる。
――なぜ色街を撮り続けるのか?紅子さんが惹かれる色街の面影を、一緒に探してみたい。
紅子さんと交流の深いライター・舞台役者の千絵ノムラさんと一緒に、紅子さんのまなざしを追体験したいと思う。

紅子
1972年生まれ。色街写真家
元吉原ソープ嬢。
10代で風俗嬢となり、関東各地の風俗街を13年以上転々とする。36歳シングルマザーとなりパート仕事と子育ての日々を送る。
48歳から独学でカメラを習得し遊廓や風俗街など日陰として扱われる街を訪ね撮影する。
2021年よりYouTube『紅子の色街探訪記』を配信。
写真展、トークライブなどで活動。
2023年写真集『紅子の色街探訪記』出版。
https://lit.link/benikoiromachi
千絵ノムラ
2月28日生まれ。横浜生まれ横浜育ち。
劇団唐組、ドイツ留学を経て、演劇ユニット「ビニヰルテアタア」を設立。主宰・劇作・演出・役者を兼務。現在、演劇業はちょっとおやすみ。
ライター・文筆業の他、代官山 蔦屋書店のオープニングスタッフでサブカル担当。
渋谷にある水曜日限定の「スナック雨」のママでもある。
中銀カプセルタワービルに2021年7ヶ月間住んでいた。
http://vinyltheater.com/chie.html

田才孝子
フリーランスディレクター。ドキュメンタリーを中心に、医療・教育番組などを制作。
『Private Film』20:30~

僕が22歳のとき、父が病気で死んだ。漫画を読むなとか、ドリフを見るなとか、勉強しないと乞食になるぞとか、そういうことばかり言う堅物のサラリーマンで、あまり仲良くなれなかった。でも遺品を整理していると、大量の8mmフィルムが出てきた。昔、カメラをもっていたことすら知らず、意外だった。所属していた映画研究会の映写機を使って、すべて再生してみた。そこには、父と母の結婚式や新婚旅行、兄が生まれ、姉が生まれ・・・僕が生まれる前までの、見たことのない米本家の姿が、動画で記録されていた。そして、あり得ないことだが、まるで“父が亡くなることを予期して撮られた映像”のように、僕には感じられた。

当時、このフィルムを編集して『Private Film』という短編を作り、大学の卒業式の日に母に見せた。映像を仕事にしていくという決意を、母に伝えたい気持ちもあった。映像を見ながら、母は涙した。
他人を題材にドキュメンタリーを作るようになって、改めて思う。父はなぜ、この映像を撮ったのだろうか。不特定多数の人に見せることは露ほども考えていなかったに違いない。ただ、記録しておきたかったのだ。自分のため、そしてもしかしたら、家族のために。こうして撮られた純粋な「記録」は、時代を越え、見る者を越え、新しい意味をもっていく。

確か、母以外は誰にも見せたことがない“ごく私的な”記録。ふと思い立って探したが、当時の編集が見つからず、記憶を頼りにつなぎ直した。ドキュ・メメントを9年やってきて、この場なら上映できる気がしています。
米本直樹
