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亀山亮 展示

紛争地を記録し続ける写真家・亀山亮の新作を、会場となる本照寺の境内や寺子屋に展示します。

パレスチナ 暴力の連鎖(ジェニン虐殺ナクバの再来

 現在、パレスチナではアメリカの莫大な軍事援助に支えられたイスラエル軍によって未曾有の規模で民間人が殺され続けている。戦争はパレスチナだけではなくレバノン、シリア、イエメン、イランと拡大を続ける。

 パレスチナでは昨年の10月の戦闘開始から死者の数は4万5千人を超え(24年12月現在)1万人以上の犠牲者が瓦礫の中に埋まったままだ。国連は遺体を収容するだけでも最大で3年かかると言う。パレスチナでの犠牲者の大半は女性や子供でウクライナ戦争よりも桁違いに非戦闘員の犠牲者の数が多い。

 2002年ヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプでイスラエル軍によるパレスチナ人の虐殺を取材した時に見た光景と同じことがガザ全体で大規模に行われている。ジェニンキャンプでイスラエル軍は無差攻撃の後、軍用ブルドーザーで逃げ遅れて建物に残った人々もろともすべてを押し倒し、破壊し粉々にしていった。キャンプを封鎖するイスラエル軍の目を盗んで漸くキャンプに入ると焼けこげた遺体の断片が転がりキャンプ全体に強い死臭が漂う中、時折やってくるイスラエル軍の戦車に怯えながら住民たちは瓦礫を素手で掘りながら家族を探していた。

 敵対する人々の存在の痕跡を消し、民族そのものを浄化しようとする人間の結晶化した憎悪の狂気の光景は今も僕の脳裏に強く焼き付いている。

キャプション)1 イスラエル軍のスナイパーに狙撃された少年の葬儀 2001年ガザ地区・ハンユニス.jpg

イスラエル軍のスナイパーに狙撃された少年の葬儀 2001年ガザ地区・ハンユニス

キャプション)2 パレスチナ武装組織の集会 2001年ガザ地区ラファ.jpg

パレスチナ武装組織の集会 2001年ガザ地区ラファ

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亀山亮
1976~

千葉県生まれ。現在、八丈島在住。1996年よりメキシコ、チアバス州のサパティスタ民族解放軍(先住民の権利獲得闘争)の支配地域や中南米の紛争地帯を撮影する。2013年アフリカの紛争地帯を撮影した写真集『AFRIKA WAR JOURNAL』(リトルモア)で第32回土門拳賞を受賞。

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